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“Andrew Pekler & Jan Jelinek Play Ursula Bogner” Japan Tour 2014

2014/05/07

Jan Jelinekが主宰するfaiticheからの発掘音源で知られるURSULA BOGNER、その全貌が遂に明らかに!

URSULA BOGNER = Andrew Pekler & Jan Jelinekによるジャパン・ツアー!

Pferdekopfnebel

ウルズラ・ボーグナーっていったいダレ? ──2008年、それまでに本名名義、あるいはよりダンスフロア向けの名義であるファーベン(Farben)としてジャズやソウル、さらには忘れ去られたクラウトロックなどの短い断片をループさせ、そのループポイントをすこしづつズラしていくことでサンプリング・ループ・ミュージックに揺らぎやモアレの感覚を導入したヤン・イェリネックが、自身のレーベルである“faitiche”の第一弾としてリリースしたのがウルズラ・ボーグナーであった。
そのプレス・リリースにはウルズラ・ボーグナーなる人物について、以下のように記されている。

──ウルズラ・ボーグナーはこれまでずっと発見されてこなかったアーティストで、大手製薬会社のシェリングに勤める薬剤師であると同時に、Herbert Eimert(ドイツの電子音楽家。ケルンのWDR electronic music studio設立者の一人)の電子音楽講義に出席するなど、あくまで個人として電子音楽にのめりこんでいた。また、ヴィルヘルム・ライヒ(ウクライナ系ユダヤ人の精神分析家。プロレタリアートの性的欲求不満が政治的萎縮を引き起こすと説いた)のオルゴン理論に魅了され、60年代後半にはテープ録音を開始、1994年死去──

ヤン・イェリネックによれば、飛行機のフライトでたまたま彼女の息子であるセバスチャン・ボーグナーと隣あわせになったことから作品のリリースに発展したとのことだが、それにしてもそのウルズラ・ボーグナーの作品は、制作された時期とされる69年~88年の音楽としてはあまりにも謎めきすぎていた。そこでは確かに電子音楽黎明期の音楽的文脈が踏まえられていたが、しかし新しくもきこえるし古くもきこえ、それがいつの時代に作られたものなのか、まったく聴き手を煙にまくようなものだったのだから。
「こんな音楽をこの時代にやってたなんて考えられない」発表された当時にはそう主張する意見もちらほら見られたが、彼女の半生を綴った詳細すぎるライナーノーツや、時系列を追ったポートレート、また、彼女が手掛けたとされるペインティングなどのアートワークがふんだんにフィーチャーされていることによって、ウルズラ・ボーグナーは確かにかつて存在したのである、という認識が広がり、そのあまりにも音楽的タイムラインを飛び越えたサウンドに対する評価が高まっていった。

さて、本ツアーは、そのウルズラ・ボーグナーの来日公演である。もう亡くなっているのだから来日公演などできようはずもない……のだが、実はこのウルズラ・ボーグナー、ヤン・イェリネックの盟友であるアンドリュー・ペクラーとイェリネック自身による架空のプロジェクトであることが明かされ、この来日公演は、その日本初お披露目となる。
いったいなにゆえにこれほどまで手の込んだフェイクを用意したのか、それはレーベル名である“faitiche”にその鍵があるのかもしれない(factとfetishを組み合わせた造語である“factish”のドイツ語読み。「主体‐客体」という近代的二分法からの脱却を問うた、フランスの社会学者であるブルーノ・ラトゥールによって1999年提唱)。
ライヴでは、ウルズラ・ボーグナーのペインティングや写真(という設定のアート)などもフィーチャーし、「かつて確かに存在したかもしれない」ひとりの音楽家の姿が描き出されるとのこと。もし、ウルズラ・ボーグナーがほんとうにいたとしたら……。それがどのような音となるべきなのか、ぜひご体験ください。

(テキスト: 西山伸基)

 

“Andrew Pekler & Jan Jelinek Play Ursula Bogner” Japan Tour 2014

6/28(土) 福岡公演
『otonoha』
at.Kieth Flack 2F
http://www.kiethflack.net/
共演: Vegpher / little side effect
DJ: T.B. / Hiroyuki Mori
19:00 open/start
フライヤー持参: 2500yen / 当日: 3000yen  ※ドリンク別
予約・お問い合わせ: otonoha otonoha2001@gmail.com
詳細

6/29(日) 東京公演
at.落合soup
http://ochiaisoup.tumblr.com/
共演: ASUNA / 長谷川静男 (Hasegawa-Shizuo) / 光線獣 (Kousenjuu: Stéphane Shibatsuji-Perrin + Yousuke Fuyama)
DJ: Nobuki Nishiyama
19:00 open/start
料金: 2500yen
予約・お問い合わせ: 落合soup
 ochiaisoup@gmail.com
詳細

7/4(金) 和歌山公演
お還りなさい × the birth for nil presents『よい宵 special night』
at.匠町ギャラリー
http://takumi.ikora.tv/
共演: Caprice Of Mercury / the birth for nil
DJ: KATAGIRI、FUYURI、ICR、Johann Okata
FOOD:アジアのごはん(なーむ)
20:00 open/start
前売り: 3000yen / 当日 3300yen  (限定40名)
予約・お問い合わせ: お還りなさい okaeri.info@gmail.com
詳細

7/5(土) 金沢公演
『connecting vol.17』
at.kapo
http://www.kapolog.com/
共演: ASUNA / sanchan / Susumu Kakuda
19:00 open/start
料金: 2500yen
予約・お問い合わせ: 
wyatttrobertsdream@googlemail.com

7/6(日) 京都公演
at.METRO
http://www.metro.ne.jp/
共演: Ametsub (DJ set) / Polar M / SjQ
DJ: tsukasa / Tatsuya Shimada (night cruising)
18:00 open/start
前売り: 2800yen / 当日 3300yen  ※ドリンク別
予約・お問い合わせ: night cruising 
info@nightcruising.jp
詳細

※各公演の追加情報はこちらのページにて随時更新させていただきます。
ツアーに関するお問い合わせ、取材等はnight cruising info@nightcruising.jp まで。

– 関連公演 –
6/30(月) 19:00 open/start
『BONDAID#3』
at.Bullets Tokyo
http://bul-lets.com
出演: Andrew Pekler / Nyantora (Sound Of Romances) / 食品まつり aka foodman (Orange Milk, Digitalis, Dubliminal Bounce)
HiBiKi MaMeShiBa (Gorge In) / SlyAngle (melting bot / BONDAID)
料金: 1500yen  ※ドリンク別
詳細

 

Ursula Bogner(ウルズラ・ボーグナー):

UrsulaBogner_1978

1946年ドイツのドルトムント生まれ、1994年没。
19歳でベルリンに移住し、薬学を学ぶ。卒業後製薬会社のシェリングに勤務。
並行して電子音楽へ興味を持ち、20代最初の頃にケルンの電子音楽スタジオ「Studio für elektronische Musik」の活動に触発され、ミュージック・コンクレートに対する理解とブリティッシュ・ニュー・ウェイヴへの愛情を深める。これまでにどこのシーンにも属さず、また、自身の作品を公にすることもなかった。
その音楽をヤン・イェリネックが4トラック・レコーダーにバラの断片で残されている状態で発見、『Recordings 1969-1988』として“faitiche”より2008年にリリース。2011年にはアンドリュー・ペクラーのコンパイルによってbook+CD形式の『Sonne = Blackbox (Voice and Tape Music by Ursula Bogner)』を、同じく“faitiche”より発表。このブックレットでは、Momusの寄稿によって、ウルズラ・ボーグナーは実はヤン・イェリネック自身なのではないか、ということが初めてほのめかされていた。その実体はアンドリュー・ペクラーとヤン・イェリネックによる架空のプロジェクトである。

 

Andrew Pekler(アンドリュー・ペクラー):

Andrew Pekler

1973年ウズベキスタンのサマルカンド生まれ。1980年に家族とアメリカへ移住、95年以降はベルリンを拠点としている。
サンプリングした弦楽器や小物、ミキサーのフィードバックよって奇妙で挑戦的な、しかし浪々とした共鳴音を生み出す。2005年にStaubgoldから『Strings + Feedback』、2007年にKrankyから『Schoolmap Cue』、2011年にDekorderから『Sentimental Favourites』など、名だたるレーベルから作品を発表し、エクスペリメンタルなアプローチながらレトロ・フューチャー的でオールド・ラウンジの実験性を抽出したアプローチと暖かみのある音色が高く評価され、『Sentimental Favourites』はQwartz Electronic Music Awardでベスト・アルバム賞を受賞。“Mutek”“Transmediale”“Unsound”等、国際的なフェスティヴァルにも多数出演。
並行して映像やインスタレーション作品にも取り組んでおり、現在のところのソロ最新作『Cover Versions』(2013年)では、中古レコードから300以上のアートワークを加工してそれぞれ独立した作品に仕上げている。
ヤン・イェリネックとの親交も古く、Groupshow名義ではハンノ・ライヒトマンも交えたトリオとして3枚の作品を発表。また、12k、Editions Mego、Hapna、Senufo Editionsなどからのリリースで知られる異才、Giuseppe Ielasiとのコラボレート・アルバム『Holiday For Sampler』も2013年に発表している。
http://andrewpekler.blogspot.de/

 

Jan Jelinek(ヤン・イェリネック):

jan_450

ベルリン在住。1998年にKlang Elektronikからリリースされた、Farbenとしてのダンス・トラックでまずは注目を集める。当時としては非常にミニマルながらも繊細なゆらぎに満ちたその作品は、のちにSNDやMille Plateauxの作品群らとともにクリック・ハウスと呼ばれたムーヴメントを牽引する先駆けとなった。
2001年にはPoleことシュテファン・ベトケが主宰する~Scapeより本名名義で『Loop-finding-jazz-records』を発表、ジャズのサンプリング・ループから音のモアレのようなレイヤーを浮き上がらせ、その評価を一躍不動のものとした。イェリネックはこの頃からすでにJan Jelinek Avec The Exposuresとして架空のプロジェクトを打ち出したり(実際はヤン・イェリネック一人のプロジェクト)、Farbenの「Live At The Sahara Tahoe, 1973」ではライヴと銘打ちながらもライヴでも1973年の作品でもなかったり(アイザック・ヘイズの同名アルバムからサンプリングをフィーチャー)と、フェイクを交えながら「主体」と「客体」との境界を踏み越える試みを続けている。
現在は自身のレーベル、Faiticheを運営。Eselからのリリースで知られるサンプリング/コラージュ・アーティスト、James Din A4をリミックス+コンパイルした『Farben presents James DIN A4』も発表したばかり。また、ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川の招聘アーティストとして、2014年4月から7月まで京都に滞在中。
http://www.faitiche.de/

 

Ursula Bogner – Recordings 1969-1988 (Reissue)

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Jan Jelinek主宰<Faitiche>の第一弾リリースとして話題となった、Ursula Bognerのファーストが2曲を追加し待望の再発!
100%ピュアな電子音による極上のコズミック・コンクレート、ハードカヴァーブック仕様の完全限定パッケージ!!

 

Total Information: 
info@nightcruising.jp

企画/制作: night cruising
協力: p*dis / melting bot / otonoha / 落合soup / お還りなさい / the birth for nil / sanchan / Susumu Kakuda / METRO / & more

助成:ドイツ連邦共和国外務省、Goethe-Institut

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